その手が象る世界 木製の画架に乗せられたキャンパスに描かれていたのは、鮮やかな蒼い花と金色の髪の少女だった。 風に舞う花片を追っているのか、それとも解き放とうとしているのか。後ろ姿の彼女はたった一人、蒼いリプアラの花が咲き乱れる場所に立ち、白い肌をさらした… 2020-06-19小説 文章
密室の窓 セレスターラ西宮殿の奥に隠された部屋があることは、限られた者にしか知られていなかった。天の陽から薄布で守られた白い密室。どこか危うさをたたえた静謐の中に、彼女は長いこと一人で残されていた。ここへに呼ばれてどのくらい経つのか。時を計る術はない… 2015-04-28小説 文章